「映世観-うつせみ-」 志人/玉兎
心身を焼き尽くすかの様な酷暑日が続く異常気象、2018年の夏の真っ只中に造られた本作品「映世観-うつせみ-」志人/玉兎。
そのタイトル名通り、淡く儚くも色濃く残されたひと夏の想い出が永遠に香る一通の便りが届いた。
「Heaven`s恋文」「EuHaereIaOe?/てけてんすくてれすくてんすくす ep」を経て志人/玉兎名義での発表となる本作品は、
少年時代の記憶を彷彿させる懐かしさを孕んだ青写真の音源記録集である。
志人/玉兎と素晴らしき音楽家達 dj ao/kazuma shiraki/ONTODA との共作作品をはじめ、instrumentalや特別バージョンの楽曲を含めた全12曲収録。
今回の作画はアルバムジャケット/歌詞カード挿絵/CD盤面、全編に渡り志人自身による作画。
志人の作画は「降神/降神」の1stアルバムの盤面の絵、特典CD-Rの「回想」以来の作画となる。
絵に施されたごく限られた色彩は、絵の具ではなく全て「夏の草花」をすりつぶし、指先で押して色を出した配色である。
本アルバムを自身で聞き込みながら描かれた絵は、アルバムの世界観と偶然のシンクロを産んでいる。
「うつせみ」とは、蝉の抜け殻、空蝉であり、比喩的には、この世はたよりなく儚いと言う意味合いもある。
又、「写せ身」ともとれ、空へ映し出す自影投射遊び、所謂「かげおくり」遊びの意味合いも孕む。
現世で生きる人間の形「現し身-うつしみ」とその抜け殻/分身に残された魂の物語。
貝殻,卵の殻,自ら作った殻,それを背負い、時に「殻」から抜け出し、「空-カラ-」になった分身が離脱した自分自身を見つめ直す。
そんな魂の会話が記録された作品となっている。
タイトルには志人/玉兎が独創した”映世観”という造漢字があてられている。
今作の作曲を手掛けるのはdj ao,kazuma shiraki,ONTODA,そしてKids and Insectsである。
dj ao
「透明鞦韆」,「門外不出」,「線香花火」,「納涼祭後」,「門外不出 -barricaded suspect-“ドアが開けられない” ver」,「遊影投写」等で多数trackを提供しているdj aoの深層深淵世界サウンドアートはアルバム全体の持つ世界観の基軸を担っている。
心の琴線に触れるノイズと絶妙なメロディーセンス、志人/玉兎の歌詞世界を包み込む様なビートメイキングはお互いの処女作とは思えない融合っぷりを魅せてくれる。
ONTODA
前作「位相空間EP」でもその独特な世界観と志人のリリック世界との抜群の相性を魅せたONTODAによるアナログ音質のサウンドアートは今作でも遺憾なくその作曲家としての才能を発揮している。
今の現代音楽家が忘れてしまった大切な部分をONTODAは記憶の再生装置を押す様なアナログレコードノイズと共に音楽で我々に教えてくれる。
kazuma shiraki
なのるなもない「Melhentrips」収録の「許されぬフルーツ」でも楽曲をKazuma名義で提供していたKazuma Shirakiによる幻の名曲「幽体離脱」は、
世界中に溢れるアンビエントミュージック史上後世に語り継がれるであろう音楽の源流に触れることが出来る素晴らしい作品だ。
Kids and Insects
Kids and Insectsは、里山の風景に溶け合う倍音と活気。「映世観-うつせみ-」 に透明な生命色を添えている。
素晴らしい音楽家達に支えられ出来上がった本作品「映世観-うつせみ-」 志人/玉兎。
いつでも取り出して聴くことができる一夏の淡く儚い想い出を永遠のものとさせてくれる名作アルバムが完成しました。
■発売日:2018年9/12発売予定
■収録曲:
- 01.「透明鞦韆 -Transparent Swing-」 produced by dj ao 収録分数 2:06
- 02.「門外不出 -Barricaded Suspect-」 produced by dj ao lyrics by 志人/玉兎 収録分数 6:48
- 03.「線香花火 -Short lived-」 produced by dj ao lyrics by 志人/玉兎 収録分数 6:16
- 04.「納涼祭後 -After the Fireworks Display-」 produced by dj ao 収録分数 1:42
- 05.「幽体離脱 -Astral Projection- 」 produced by kazuma shiraki lyrics by 志人/玉兎 収録分数 5:54
- 06.「深夜空路 -MidnightSkyHighway- 」 produced by ONTODA lyrics by 志人/玉兎 収録分数 4:12
- 07.「田海金河 – Sea of Rice Fields – 」 produced by ONTODA 収録分数:2:00
- 08.「門外不出 -Barricaded Suspect-“ドアが開けられない” ver 」 produced by dj ao lyrics by 志人/玉兎 収録分数 7:04
- 09.「線香花火 -Short lived- instrumental 」 produced by dj ao 収録分数 6:16
- 10.「深夜空路 -MidnightSkyHighway- instrumental 」 produced by ONTODA 収録分数 4:20
- 11.「幽体離脱 -Astral Projection- instrumental 」 produced by kazuma shiraki 収録分数 5:54
- 12.「遊影投写 -Move your shade to vast sky- 」 feat Kids and Insects produced by dj ao 収録分数:3:31
total time: about 56分 収録
↓各曲の楽曲紹介は下記より↓
『映世観-うつせみ-」 志人/玉兎 収録楽曲紹介』
01:「透明鞦韆 -Transparent Swing-」 produced by dj ao 収録分数 2:06
本作品のMix全般を担当し、そしてアルバムの幕開けを象徴とする本楽曲はdj aoによる作曲。
どことなく寂しげでいて懐かしさを孕む紫色の色彩の中、透明な鞦韆(ブランコ)が不思議に揺れる姿を描写したかの様な音像。
この曲を始まりとし、「映世観-うつせみ-」は果たしてどの様な景色を私たちに観せてくれるのであろうか?
02:「門外不出 -Barricaded Suspect- produced by dj ao lyrics by 志人/玉兎 」 収録分数6:48
“弊害と障害”と言う非常にセンシティブな内容に踏み込んだ一曲。
歌詞カードを観れば志人/玉兎の膨大な量のリリックが敷き詰められている様に、高密度な言語感覚とふとした瞬間に産まれる歌心、その全てを支えるdj aoの音楽の世界観は圧巻の一言。
自ずから門をくぐり外へ出る事が出来ない自閉空間の殻の中を彷徨う主人公が、ある少年との出会いにより門の外へ出て行こうとする心の軌跡を描いた作品である。
”障害”と言う言葉で片付けられない、ひとえにそれは”個性だ 空に光る一等星だ”とする志人の詩世界は、
美談では終わらせられない苦しみと葛藤、そして万人が抱え持つ「将来に対するぼんやりとした不安」から必然的に歩を進める事を諦めざるを得ない口惜しき夢追い人の肩を叩き、背中を押す。
dj aoのサウンドアートは心底深く、そして美しく、自身の音に真摯に向かい合い、研究し探求するdj aoの音楽家としての姿勢が目に見えるような楽曲である。
心の琴線に触れる繊細なノイズやbeatの抜き差し、映画音楽の様な展開も非常に美しい。
志人/玉兎とdj aoが互いに寄り添い、試行錯誤しながら音源に息吹を吹き込んだ真の共同制作音源。
是か非かを問う世間よりずっと深い処で産まれた作品である
「誰かの為に生きるという事は 雨風をしのぐ屋根や壁、床のように不可能を可能にしてあげるのよ。
いつも胸元に鳴り止まぬ 君一つだけの音楽と 言葉にならず有り余る 思いの丈を歌にして
そっと小窓を開けたげる 我はごうごう背を押して 放っとくなんてもっとコク どっと溢れ出ておいで
火を消すだけの息でなく 命を吹き込み火を熾す ひょっとこ(火男)の心意気だけは喉仏にはとっとこう」
— 「門外不出 -barricaded suspect-」 歌詞より抜粋。
03: 「線香花火 -Short lived-」 produced by dj ao lyrics by 志人/玉兎 収録分数 6:16
“地平線へ消えたサーモンピンクの夕焼けよ
逃げ水追う長閑かな農道 大都会は蜃気楼”
という歌から始まり、未だあどけなさが残る少年の声の様な志人/玉兎の歌い回しは、夏の夕暮れ時に戦ぐ一陣の風と共にゆっくりと流れてゆく田園風景が心に映る。
dj aoのサウンドは放課後の音楽室から聴こえて来そうなピアノメロと、蝉時雨の音か、はたまた手持ち花火の爆ぜる音の様なノイズが相まり、胸にすっと染み込んでくる。
又、志人/玉兎が自身を線香花火と見立て、その -short lived-を表現するシーンには舌を巻く。
たった数行の詩、ものの数秒間で、人生において大切な事を惜しみなく伝える姿は、線香花火が爆ぜている瞬間に我々に魅せてくれてた幾千の光と、火種が落ちた後の残像残響と同じ様な感覚を感じさせてくれる。
志人/玉兎の詩が田園風景の川上から大都会の川下へ向けて流れ着くのに合わせて、dj aoも絶妙なtrack展開を魅せ、山から海へ、地から天へ、その広大な宇宙観と此の星の懐の広さを思わせる楽曲に仕上がっている。
ふと口ずさみたくなる志人/玉兎の心情描写豊かな歌心も満載。
線香花火を見つめながら そのひと時を短いと想うか、長いと想うか。その光を鮮やかと想うか、淡いと想うか。 それは人それぞれの人生の解釈にもよるのだろう。
本アルバムを「うつせみ」と名付けた一つのきっかけともなった影の表題曲である。
04: 「納涼祭後 -After the Fireworks Display-」 produced by dj ao 収録分数 1:42
特にイベントごともない地味な里山の日々、それでもこのお盆の時期に開かれる納涼祭では、里を離れ都会へ出て行った人達も故郷に戻ってくる。
少し賑やかになった納涼祭会場の公会堂では、地元民の焼きそばやフランクフルト、ラムネにジュース、生ビールが振舞われる。
金魚すくいにスーパーボール、輪投げにはしゃぐ子供達。
ひとしきり遊び終えたあとは子供達が待ち望んだ打ち上げ花火が空を彩る。
祭りが終わり、すっかりと暗くなった農道を田んぼに落っこちない様に大人たちに手を引かれながらの帰り道、 こんな音楽が鳴っていた。
地元消防団の火の用心のサイレンと祭りのあとのサイレント。
そんな幻の様なひと時を見事に捉えたdj aoによる作曲。
05: 「幽体離脱 -Astral Projection-」 produced by kazuma shiraki lyrics by 志人/玉兎 収録分数 5:54
幻の名曲の誕生。
志人が制作にあたり膨大な数の過去音源から新作制作を模索している最中に、ひと際心に輝いて止まぬ名曲を発見した。 それは”ontoda アンビエント”と記された一つの音源ファイルであった。
後にこれは、kazuma shiraki氏が15年以上も前に手掛けたアンビエントミュージックである事を志人はONTODAから知らされる。
此の秀逸なtrackはかつてONTODA氏が世に30枚ほどCD-Rのみで配布したアンビエント集の中の1曲であった。
かねてよりkazuma氏の音楽、そしてDJに心底惚れていた志人自身は、その作曲者がkazuma shiraki氏と知り、縁の巡り合わせを感じずにはいられなかった。
「これ程までに美しいアンビエントサウンドは我が人生で未だかつて出会ったことがない。」と志人が語る様に、kazuma shiraki氏のサウンドアートは、国境を越え世界中の幾多の音楽群においても類稀なる”真の音楽の姿”を魅せてくれる。
志人/玉兎の詩世界は、「蜂毒に酔うて幽体離脱 も一人の自分 夢枕に立つ」と言うフレーズが象徴する様に、幽体離脱と臨死体験を元にした世界観が構築されている。
自然界の植物名の響きや日本語本来が持つ優しき響きがkazuma shiraki氏の壮大かつ寛容な音楽と深く相まり、アンビエントミュージックと言う括りには収まりきらない、実験音楽の真骨頂をも思わされる仕上がりである。
読経,マントラ,ウィスパー,などその歌唱方法も自由奔放であり、無限大に広がっていく宇宙曼荼羅を想わせるフローも圧巻である。
実は、本作品「うつせみ」は、発表目前まで「幽体離脱」と言うタイトル名とされる予定であった。 それほどまでに本曲は此のアルバムの世界観の根底に位置する重要なtrackである。
本アルバムに収録されている track:11 のinstrumentalバージョンもkazuma shiraki氏の音楽の素晴らしさを深く知る事が出来るので、是非とも併せて聴いて頂きたい。
06 「深夜空路 -MidnightSkyHighway- 」 produced by ONTODA lyrics by 志人/玉兎 収録分数 4:12秒
作曲はONTODA氏。ONTODAがMPCによる作曲を始めて間も無く出来上がったとされる初期作品を志人が掘り、作品へと昇華していった。
灼熱の太陽に炙られながら心と身体が溶かされてゆく様なレコードノイズと飾り気のない志人/玉兎の口調が印象的である。所々「玉兎」が本曲でも見え隠れするのも面白い。
「Made in 冥土」、「近未来発現在行き臨死体験」「コンポストの中でぼかされた本当と嘘 存続危ぶまれる一人称」と言うフレーズが印象的であるが、あの世とこの世の境目で、或いは大地と空の境目を行き来する壮大かつアブストラクトな志人/玉兎の散文詩は、主だった主人公や登場人物も居なく、選び抜かれた言霊たちは丸ごと比喩表現の群れが積もり積もり、一聴して理解できる様な容易な表現は少ないが、ontodaの極限までシンプルになった音数と抜群なメロディーとビートのセンスにより、一人称の存在しない物語ならぬ物語が聴く者の中で生まれてゆくという不思議な楽曲に仕上がっている。
犠牲の上に咲く花の一生と星の一生を我が一生と捉え、そして貝と共に生きるヤドカリやタニシ、珊瑚礁と呼応する様に生きるイソギンチャクが海のプランクトンを食べ、微生物が分解し、汚れた星を綺麗に清掃してゆく献身的な生態系の姿を見事に比喩した楽曲となっている。
その中でも、「流行(トレンド)の裏側で猛勉強」や「生産性効率化に取り憑かれ猪突猛進するべらんめえ 否 君はええ塩梅を知る名探偵」と言うリリックには、志人の人生観をうかがわせ、時にハッとさせられる様な詩の世界が煌めいている。
的は○角がなくなる月と円な地球の謎をなぞらう
生命は透明な光線上
名も無きヤドカリは貝と共存共鳴
— 「深夜空路 -MidnightSkyHightway- 」 歌詞より抜粋。
07 「田海金河- Golden River and Sea of Rice Fields – 」 produced by ONTODA 収録分数:2:00
ONTODA氏作曲による永遠に聴いていられるワンループミュージック。
月光に艶めく黄金の稲穂の波と田の海を見晴らす大宇宙銀河と心象小宇宙のミクロとマクロを想起させられる
08「門外不出 -barricaded suspect-“ドアが開けられない” ver 」 produced by dj ao lyrics by 志人/玉兎 収録分数 7:04
本アルバムの為に収録された特別バージョン。
「暗殺者の恋」志人/玉兎を彷彿とさせる冒頭のセリフサンプルとdj aoの深層beatと相まり、原曲とは全く違った響き方を持つ。
より映画化映像化された音像は深層心理に語りかける。 beatの入り具合や志人/玉兎のリリックとの融合は聴く者の心に様々な感覚を揺さぶり起こす。
またもう一つのバージョンのクラシックが出来上がっている。
09 「線香花火 -Short lived- instrumental 」 produced by dj ao 収録分数 6:16
前曲の「門外不出 -barricaded suspect-“ドアが開けられない” ver 」 からの本曲の流れは非常に感慨深く、dj aoの本来の楽曲の持つ壊の深さや優しさの奥行きを堪能することができる。
散歩しながら、自転車に乗りながら、公園のベンチで、電車に揺られながら、、色々なシュチュエーションに自然と溶け合うので、是非ともこのinstrumentalを生活の中の色々な場面で聴いてみて頂きたい。?
10「深夜空路 -MidnightSkyHighway- instrumental」 produced by ONTODA 収録分数 4:20
ONTODA初期作品。サンプリングレコードノイズが言い知れぬ懐かしさを運び、MPCで叩いて弾いた人肌の様な温かみのあるアナログサウンド。
着実に帆を進めるかの様なビートの置き方はONTODA本来のビートメイキングの誠実さが伺える。
11「幽体離脱 -Astral Projection- instrumental 」 produced by kazuma shiraki 収録分数 5:54
「これ程までに美しいアンビエントサウンドは我が人生で未だかつて出会ったことがない。」と志人が語る様に、shiraki kazuma氏のサウンドアートは、国境を越え世界中の幾多の音楽群においても類稀なる”真の音楽の姿”を魅せてくれる。
本作品「映世観-うつせみ-」は、発表目前まで「幽体離脱」と言うタイトル名とされる予定であった。 それほどまでに本曲は此のアルバムの世界観の根底に位置する重要なtrackである。
instrumentalバージョンは、志人/玉兎の歌詞が乗ったバージョンでは聴き得ないshiraki kazuma氏の音の細部までもが鮮明に響き渡り、新たな音の発見も多々あるだろう。
言葉を失う涅槃音楽を体感してみてください。
12「遊影投写 -Move your shade to vast sky- 」 feat Kids and Insects produced by dj ao 収録分数 3:21
feat Kids and Insectsとある様に、ヒグラシをはじめ、様々な昆虫達の倍音に抱かれ子供達が本アルバムの参加者の名をそれぞれシャウトしていく。
アルバム全体を通してこのファイナルtrackへ辿り着くと、楕円形の地球に抱かれた安心感を取り戻す感覚を覚える。
台風や地震、津波などに揺れる自然界と人間界の調和を取り戻すかの様なサウンドアート。
一夏の淡く儚き想ひ出が永遠に香る様な哀愁漂うdj aoのtrackの情景描写は蝉の抜け殻を象徴とする「うつせみ」である世の中の持つ本来の姿を象っている。
涙ものの一曲。
- 定価(税込)
- ¥2,700
- 販売価格(税込)
- ¥2,700
- 在庫状態
- 在庫僅少